認知症の方の歯科治療、有病者の歯科治療を主に行っています 長崎市布巻町にある三和中央病院内の歯科診療室です 

 

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 歯を磨かないと歯垢(プラーク)が溜まり、虫歯や歯周病になる、ということも、皆さんは本来はわかっていることだと思います。

 なのに、なぜ磨かない人が多いのでしょう。ただひとつ言えることは、自分で磨けない人は別として、磨けるのに歯を磨かない人は無精者、ということだけです。多くの方になぜ磨かないのかを聞いてみましたが、大抵は「めんどくさい」という返事がほとんどです。

 

 本来毎日食後3回、おまけに寝る前に1回磨いていれば、特別な因子がない限りは虫歯になることはありませんし、歯周病が進行することもないと思います。

 歯科治療における痛みよりも、虫歯や歯周病を放置したことにより生じる痛みの方が何倍も大きいはずです。通常の治療においては、歯科治療で痛みを感じるのは麻酔の針を刺すときくらいなものです。その痛みすらも粘膜麻酔(ゼリーなど)を併用することにより減じることができます。無精が長引けば長引くほど後に生じる痛みは大きくなり、治療内容も複雑になり、その分治療も時間がかかることになります。

 

 非常に単純な話なのですが、すでに虫歯ができてしまっているのでは、治療は必ず受けなければなりません。また、治療のあとの適切な歯磨きと定期的なメンテナンスが重要なのです。適切な治療を受けて、後は適切に歯磨きを行い、適切にメンテナンス(歯石除去など)を受ければ、ほとんど痛みや恐いことはありません。

 

 虫歯の治療が終わったからと言って、虫歯自体は治りましたが、また虫歯になる可能性がなくなったわけではありません。もともと虫歯になったくらいなので、歯磨きをしなければ、いくら治療したことがあってもまた虫歯になるのは至極当然です。治療したところがまた虫歯になった、という話はよく聞きますが、治療後の歯磨きが不適切だったり、定期的なメンテナンスを受けていないのであれば、別におかしな話でもありません。

 

 歯科治療とは単に口腔内の状態を改善させるお手伝いをするだけであって、口腔内を健全に保つ主な担い手は他ならぬ患者さん自身です。後にまた虫歯ができるかどうかも患者さん自身の歯磨き習慣で大きく違います。これを理解いただけるかどうかで、歯科治療がうまくいくか、患者さん自身の口腔管理がうまくいくかは大きく変わります。

 

 

 

 まず結論から、これだけは断言できるのですが、歯磨きは歯科医院で習わないとほとんどの方がまともに磨くことはできません。1日4回磨いているのに虫歯ができた!と自信を持って言う方でさえも、実際は「磨いている」だけであって「磨けている」わけではないのです。磨いているのと、適切に磨けている、というのはゼロと1のように大きな差があります。

 

 磨き方を習っていない人は概ね下記のような自己流で磨いているようです

 

・前を磨いたり、横を磨いたり、内側を磨いたり、また前を磨いたり、順番がバラバラ

・噛んだ状態で上下の奥歯の外側を上下同時に磨く

・力を入れて、大きなストローク(ブラシが動く幅)でゴシゴシ磨く

・歯ブラシは何ヶ月も変えておらず、毛先が開いている

・磨く時間は1分もかからない

 

 よく勘違いしているのが、力を入れてゴシゴシ磨けばよく汚れは取れる、と思われていることです。これは逆に残るべき場所にプラークが残りやすく、また歯の根元がブラシによってくさび状に削れてしまう弊害があります(ゴシゴシと力を入れて磨く方は、根元がすっぱりと削れてしまっている人がいるはずです)。歯磨きに力はさほど必要ではありませんし、大きく動かす必要もありません。

 

上に挙げたような磨き方をしている方は、1日何回磨こうとも、ほとんどプラークは除去できていません。

 

 

 

 適切な歯磨きを行う上で重要になるのは

 

 1.歯ブラシの持ち方

 2.歯ブラシの当て方

 3.歯ブラシの動かし方

 4.磨く順番

 5.要する時間、回数

 6.鏡を見ながら磨くこと

 

 概ね上記の事柄となります。

 

1.歯ブラシの持ち方

 

多くの方はこのように歯ブラシの柄を被せるように持っていると思います。ところが、歯ブラシの柄を被せるように持つと、力が入りすぎたり、丁寧に動かす磨くことが難しくなります。

基本は図のように鉛筆持ち(ペングリップ)で歯ブラシを保持します。これで余計な力が入らず、丁寧に磨くことができます。

 

2.歯ブラシの当て方

 

毛先は歯の面に直角に当てます。ここで重要なのは、歯の間、歯と歯ぐきの境目にも確実に毛先が当たっていることです。少し押しつけるような感じで当てると歯の間にも毛先が入りやすくなります。

部位によっては同じようにブラしを当てづらい部分があるので、その場合には歯ブラシの毛先を当てて磨いたり、

逆にかかとの部分を使って磨いたりします。

前歯の内側や、歯並びが悪い部分を効果的に磨くことができます。

 

3.歯ブラシの動かし方

 

動かす幅としてはほとんど動かしません。どちらかというとブラシを歯面に押しつけながら揺らすような感覚に近いと思います。小刻みに動かすのは歯の間や根元の汚れをしっかりと落とすためです。ここで力を入れて大きな幅で磨くと、表面だけが磨かれ、歯の間や根元には汚れは残ったままとなります。

おおむね歯2本分くらいを目安として一カ所を数秒間磨いたら、少しずらしてまた隣の2本を数秒間磨きます。これを徐々にずらしながら、上下の歯全体を磨きます。

 

4.磨く順番

 

磨き残しをなくすには磨いていない部分をなくせばよいのですから、一筆書きの要領でスタートを決めて順番に磨けば磨き残しの部位は減らすことができます。

左図の例では、左上の外側から順に磨いていき、右へ行ったら今度は内側を帰ってきます。

下顎も左側の外側から順に磨き、右へ行ったら今後は内側を帰ってきます。

スタート部位や動いていく方向、上下の順番はどうでも構いません。スタート地点を決めたら一筆書きの要領で磨いていくことが重要です。

 

5.要する時間・回数

 

2本くらいずつを丁寧に磨いていくと、最低でも3分以上はかかると思います。私ども診療室のスタッフも「ながら磨き(本などを読みながら時間をかけて磨く)」を行っていますが。やはり5〜10分くらいは磨いています。

回数は可能であれば毎食後+寝る前、計4回が理想的です。汚れたらすぐ汚れを落とす、という意味合いで毎食後磨くわけです。なぜ寝る前に磨くかというと、歯周病の原因菌は夜寝ている間に活発に活動すると言われているので、それをなるべく抑えるためです。

 

6.鏡を見ながら磨くこと

 

治療を行っていると、「ここが痛い」と患者さんが指さすことがあるのですが、実際患者さんが感じているところと指で触っているところが若干ずれていることが多々あります。口の中は鏡をみないと自分では見えないので、感覚のずれが生じるようです。

つまり、自分はここを磨いている、と思ってブラシを当てても、実は全然違うところにブラシが当たっていたりするわけです。

歯並びが悪かったり、部分的に磨きづらい場所がある場合は、必ず手鏡を片手に持って磨くことをお勧めします。

 

7.その他

 

以上が概ね基本的な歯磨きの方法となりますが、実は歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは完全に取ることはできません。

そこで登場するのが、フロス(糸楊枝)や歯間ブラシ、ワンタフトブラシなどです。

基本的には歯ブラシを使って磨くのですが、これら補助清掃用具を用いることで、さらに完璧な状態まで汚れを除去することができます。

 

 

@ワンタフトブラシ・・・ブラシが円錐形で、歯と歯の間や、奥歯の入り込んだ部分などを磨くのに適しています。

 

A歯間ブラシ・・・歯の間を磨きます。

 

B歯間ブラシ・・・持ち手が長いタイプです。

 

Cデンタルフロス・・・適度な長さに糸を切って、歯の間を清掃します。

 

Dスポンジブラシ・・・これは主に口腔ケアの際に用います。取っ手の柄の先にスポンジがついており、これで歯や、歯肉、粘膜を清掃します。スポンジなので含嗽剤などを湿らせて使用できるので、固まった乾燥痰などを除去するのにも適しています。

 

E舌ブラシ・・・これも口腔ケアでよく使います。短いブラシが放射状についた形をしており、これで舌の表面に付着した汚れを除去します。

 

 

 

歯磨きは口腔機能を維持する上では基本中の基本で、やるかやらないかは患者さんによっても大きく左右されます。私達歯科側でもなるべく患者さんのモチベーションが上がるように様々な道具や方法を用いてブラッシング指導を行っています。

 

 

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